今、新型コロナの影響で、国内の「牛肉」を取り巻く状況が一変している。最高ランクの「A5」などは、飲食店やインバウンドの需要が激減したことから市場価格が急落、格安で売り出すスーパーも出始めている。我々消費者にはうれしい一方、生産や流通に関わる人たちは厳しい。現在、和牛のほとんどが、手間のかかった高級な「サシの入った黒毛和牛」という現状が、苦境に拍車をかけているという指摘もある。
今回のコロナショックで浮き彫りになった、和牛を取り巻く現実。そんな中、”オンリーワン”の牛づくりで、和牛の新たな価値を生み出そうという動きが。高知県では、従来の基準では高い評価を得られない「赤身」肉を、独自の格付けで評価する取り組みがスタート。北海道では、国内にほとんど流通していない牛の生産が本格的に始まった。 「A5」とは別の新たな道を…。独自の価値を武器に歩み始めた生産者たちの姿から見えてくる、ニッポンの畜産の未来とは?和牛市場の拡大につながる可能性も秘めた取り組みを追う。
一方、コロナ禍で飲食店が勢いを失う中、東京・吉祥寺のとある店には長い列が。看板には、「やっぱりステーキ」の文字。この6月に東京初進出を果たした、沖縄のステーキチェーンだ。人気のワケは、良質な肉をわずか1000円で食べられ、ご飯やスープ、サラダが食べ放題という、その安さ。しかし、そこにも、新型コロナの暗い影が忍び寄っていた。かつてないピンチに、どんな戦略で立ち向かうのか?